
事業WG(ワーキンググループ)では、会員企業が主体となり、環境改善のテーマごとにグループを設置し、調査・研究等を進めています。 CIFER・コアは、企画、運営、関係者間の調整など、事業化の実現に向けて、コーディネーターとしての役割を果たしています。
事業とテーマ
各WGのテーマ | |
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WG1 | 堺2区北泊地の環境改善 |
WG2 | カルシア改質土の効果および環境影響調査 |
WG3 | 堺浜における水質浄化実験 |
WG4 | 岸和田木材港 活用策の検討 |
WG5 | エコブロックの汎用化及び小型化についての検討 |
WG6 | 岸和田木材港 ACの環境影響調査 |
WG7 | エコパネルの開発実験 |
WG8 | 二枚貝の養成実験 |
WG9 | 建設系副産物等の利活用検討 |
WG10 | 浮体式構造物を用いたアマモの養成実験 |
WG11 | C.S.Sによる二枚貝養殖実験 |
活動状況
【堺2区北泊地】WG1.堺2区北泊地の環境改善
堺2区北泊地はかつて鉄鉱石や石炭の巨大運搬船が出入りしていたことから、水深が16m近くあり、この海域の水質の悪化を引き起こしています。このためWG1では、大和川の浚渫土砂を利用した泊地内の浅場化整備等について検討を行ってきました。今後は、国、大阪府、堺市、学識経験者、漁業関係者等を含めたさらなる検討が必要であり、CIFER・コアは引き続き関係者に働きかけていきます。
事業WG1の概要(令和4年)
【堺2区北泊地】
WG2.カルシア改質土の効果及び環境影響調査
堺市と(一社)日本鉄鋼連盟は、平成25年春にオープンした約5,000㎡の人工海浜「堺浜自然再生ふれあいビーチ」の一角に鉄鋼スラグを活用したカルシア改質材の設置し、環境影響等を調べる実験を行いました。CIFER・コアはその評価員会の運営を担当し、海浜地形の変化、生物等への影響を調査したところ、環境への特段の変化や影響は認められませんでした。現在、カルシア改質土を、窪地の埋戻し材や浅場・干潟・港湾用地等の造成用材として活用することを検討しています。
事業WG2の概要(令和4年)
【堺2区北泊地】
WG3.堺浜における水質浄化実験
大阪湾奥部の水質改善に向けて、堺浜の護岸敷に水質浄化設備を設置し、平成25年度から会員企業が開発中のろ過材等を用いた海水浄化実験を行ってきました。27年度には直近にタイドプール5基を設置し、平成30年度からは建設系副産物等の海域環境への影響について調査しました。タイドプール実験では、ガラス瓶等破砕材(C.S.S)に生物の付着効果が認められたことから、令和3年度の土木学会において成果が発表されました。
事業WG3の概要(令和4年)
【岸和田木材港】
WG4/WG6.岸和田木材港 活用策の検討及びACの環境影響調査
現在、遊休化している岸和田木材港貯木場について、WG4で水面の活用策を検討してきました。また、WG6では、石炭灰を活用したアッシュクリートによる水質・底質改善実験を行ったところ、重金属類の溶出は認められず、環境の改善効果が認められました。今後、木材港の開発計画の進展を踏まえて、自然豊かな陸域と海域を有する土地として再構成されるよう、関係各者に働きかけていきます。
事業WG4の概要(令和4年)
事業WG6の概要(令和4年)
【泉大津汐見沖・阪南2区北側海浜緑地】
WG5.エコブロックの汎用化及び小型化についての検討
生物の棲みにくいコンクリートの直立岸壁などに設置することで、生物の避難場所や生息場所となる「エコブロック」について、調査・検討を行ってきました。令和元年度には、より安価で汎用性の高いミニエコブロックを作製し、阪南2区に設置して魚の蝟集状況などについてモニタリングを継続しています。
事業WG5の概要(令和4年)
【泉大津汐見沖】
WG7.エコパネルの開発実験
直立の護岸や岸壁に凹凸のあるパネルを取り付けることで、小動物や藻類等が棲息しやすくなるエコパネルの開発・設置実験を行っています。平成27年度には、生物の蝟集に効果の見込まれる材料を湿布した鋼製エコパネルを、令和元年度には夏場にも高温にならないコンクリート製エコパネルを開発、フェニックス泉大津処分場に設置して、生物の付着状況をモニタリングしています。
事業WG7の概要(令和4年)
【阪南6区内水面】
WG8.二枚貝の養成実験
二枚貝は大量の海水をろ過する機能があることから、栄養塩や炭素の吸収効果を調べるとともに、大阪湾奥に近い海域での漁業の可能性を探るため、漁業関係者と協働でマガキの養成実験を行いました。実験場所となった阪南6区は栄養塩が豊富で、他の産地よりも早くマガキが成長することが分かりました。この実験の成果等を受け、この水域における漁業権が復活するなど、沿岸漁業の振興にも一役を担いました。
事業WG8の概要(令和4年)
【大阪湾泉州海岸】
WG9.建設系副産物等の利活用検討
WG9では、大量に発生する建設系副産物等(廃コンクリート、クラッシャーラン、鉄鋼スラグ、石炭灰、廃ガラス等)について、安全性を確認しながら海域の環境再生事業に活用するための検討を行ってきました。これらの副産物等は、適切に管理することで安全で安価な素材として、国土保全・強靭化等を含む海域整備への利用が期待されます。今後は、再生材の集積基地を臨海部に整備するため、関係者との協議を行っています。
事業WG9の概要(令和4年)
【阪南6区内水面・阪南2区北側海浜緑地】
WG10.浮体式構造物を用いたアマモの養成実験
海底が泥質の大阪湾奥では、アマモは葉に付着した浮泥に光合成を阻害され、成長しません。このため、播種したカゴをイカダだから垂下し、水面に近い場所で育成する実験を行っています。令和元年度から阪南6区内水面で、令和4年度からは阪南2区において実験を行い、苗の成長に加え、花枝や地下茎も確認されています。浮体式構造物を用いたアマモ育成の工法は、令和5年に東洋建設㈱とともに特許を取得しています。
事業WG10の概要(令和4年)
【岸和田泊地・阪南6区内水面】
WG11.C.S.Sによる二枚貝養殖実験
令和3年度から、ガラス廃材から製造されたクリスタルストーンサンド(C.S.S)を基盤材として用いた二枚貝(アカガイ・アサリ)の養殖実験を行ってきました。一般的に貝類養殖に利用されている基盤材や天然砂泥と比べても良好な生育結果が得られ、C.S.Sの用途拡大の可能性が示されました。この成果は、令和5年度の土木学会において発表される予定です。
事業WG11の概要(令和4年)