WG8
二枚貝の養成実験
阪南6区内水面
目的
二枚貝は海中のプランクトンを食べて成長する際に海水を浄化することから、二枚貝の養成実験を通じて、リンや窒素などの栄養塩の吸収効果と貝毒発生のメカニズムを調査する。また、水産の振興により地域活性化を図る。
経緯
平成27年度から阪南6区内水面で5年間にわたりマガキの養成実験を行ってきました。この水域は栄養塩が豊富で、上質のマガキが他の産地よりも早く成長することが確認されました。
約6か月間養成した場合の水質浄化能力を試算すると下表のとおりであり、窒素、リンなどの栄養塩に加えて、二酸化炭素の吸収にも効果があることが分かります。
マガキが半年で水質から取り除いた物質量(殻含む)
養成数量 | 湿潤量 | 有機物 | 栄養塩 | |
---|---|---|---|---|
炭素量 | 窒素量 | リン量 | ||
38,000個体 | 5,972㎏ | 647㎏ | 68㎏ | 19㎏ |
マガキが半年で水質から取り除いた濁り(ss)の推定量
養成数量 | 一個体あたり | 全体 |
---|---|---|
38,000個体 | 107g | 4,063㎏(約4t) |
検討成果と今後の展開
阪南6区におけるマガキ養成実験は成功し、大阪湾でのカキ養殖の可能性と栄養塩等吸収効果を詳細に示すことが出来ました。この成果を踏まえて、いったん消滅していた当該水域の漁業権が認められるなど、今後の沿岸漁業の振興にも一役を担いました。
今後、二枚貝の養成による水質浄化を推進するとともに、さらに付加価値の高い二枚貝の養殖の可能性を探り、大阪ブランドとして確立するなど、地域の活性化を目指します。
構成員 | 日本海洋資源開発㈱ / 小島養殖漁業生産組合㈱ / ㈱総合水研究所 【アドバイザー】大阪市立大学 名誉教授 矢持 進 |
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※構成員の組織名はWG結成当時