
事業の枠組み
かつて自然に恵まれ文化を育んだ大阪の海。しかし、高度経済成長期以降、大きな環境問題を抱えたまま現在に至っています。CIFER・コアは海域環境を再生し、人と生物が共に暮らす海を次世代に残すため、以下の3つのセクションを設け、技術や手法の調査・研究・実験、人事育成等を行っています。
第1セクション:大阪湾環境再生事業
沿岸域における食物連鎖と生物多様性の回復、干潟や浅場などの整備、水質浄化や底質の改善などの環境技術開発、これらによる内湾の生態系サービスの向上に努めます。
第2セクション:海洋性バイオ産業等の環境型事業
藻類などのバイオマスを利用した海洋性バイオ産業等を推進します。また、栄養塩の循環やブルーカーボン機能の向上、水産業と地域の賑わいを結び付けた「海業(うみぎょう)」の振興を目指します。
第3セクション:国際人材育成事業
国内及び諸外国の豊かな海域環境を未来へ継承することを目指し、環境の保全と再生、さらに、創造に携わる実践的・国際的な「環境人材」を育成します。
第1セクション:大阪湾環境再生事業 / 第2セクション:海洋性バイオ産業等の環境型事業
近年、地球温暖化の影響から海域環境は急激に変化しており、これに対応するため「海の脱炭素」であるブルーカーボンや、より生物に配慮した海域整備、漁業と地域振興を組み合わせた「海業」の導入などが進められています。CIFER・コアではこのような流れを受け、大阪湾環境再生事業・海洋性バイオ産業等の環境型事業として「海域の緑化」「海業の振興」「再生材を用いた海域整備の推進」をテーマに、次の世代に豊かな海を繋げるための活動を行っています。
<海域の緑化>
現在、大阪湾奥部は水質が悪いことに加え、ほとんどがコンクリートの直立護岸に覆われており、海生生物が生息するのに厳しい環境となっています。これを改善するべく、既存の護岸や海域に工夫を施すことで、その海域で暮らす生き物の避難場所や餌場を造るための試みを行っています。
【CIFER・コアの取り組み】WG5・7護岸等のエコ化、WG10浮体式アマモの養成実験、阪南2区の護岸調査
<海業の振興>
大阪湾南部や瀬戸内海の島嶼部では、栄養塩の過度な減少や漁業者の高齢化等により、漁業が衰退しつつあります。CIFER・コアでは、「獲る漁業から育てる漁業へ」をテーマに、研究機関や企業の持つ知見や技術を組み合わせることで新しい生産の可能性を探り、海業による地域の振興を目指しています。
【CIFER・コアの取り組み】漁港・漁場再生実証実験(大崎上島町)、WG8マガキ養成実験、WG11CSSによるアカガイ養殖実験
<再生材を用いた海域整備の推進>
今後、増加が予想される建設系・産業系副産物等を有価物として再生し、海域に活用するための方策を探っています。海域の整備には、大量の土砂や石材を必要としますが、天然資源の採掘はその地域の環境破壊にも繋がるため、CIFER・コアでは再生材の海域への利用を提案し、安全性や効果についての実験・検討を行っています。
【CIFER・コアの取り組み】漁港・漁場再生実証実験(大崎上島町)、WG8マガキ養成実験、WG11CSSによるアカガイ養殖実験
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第3セクション:国際人材育成事業
CIFER・コアでは、園児から学生、社会人、海外留学生など、多様な世代、地域の人々が生涯にわたって海の環境を学ぶ取り組みを行っています。海に親しみ、環境への意識を高めるこれらの活動が、未来の海域環境をより良いものに変えていくと考えています。
国際人材育成活動の詳細はこちら産・官・学・民との連携
海域環境再生の課題解決に資する事業を推進するためには、多様な主体の参画が必要です。また、それぞれの主体がメリットを得ることができる仕組みが不可欠であると考えています。CIFER・コアは、産官学民の連携と協働のためのプラットフォームとしての役割を果たします。